漆;ポケットに「なんじゃこら」と愛を

私の日常は穏やかな水面のようで、可もなく不可もなく至って平凡である。でもある日、私のポケットに凄い事が起きた。人生初の「なんじゃこりゃ!」だ。 駅で電車を待ちながら、なんともなしにコートのポケットに手を入れた、ん?んんん?何か柔らかい物が入っている?!掴んだらダメそうな柔らかさ…嫌な予感しかない。急 […]

陸;青年は清らかな光合成で生きてる

今宵は『起承転結』で構成されたとある青年の物語を君に聞かせようと思う。 さぁ遠慮せず食してくれたまえ。私はようやく手に入れたこの貴重なコニャックを味わいたいのでね。君も好きな飲み物を、そうだこのベルを押したまえ。 私のいつもの気まぐれだ、遠慮せず自由にやってくれたまえ。ただ一ついいかね?これから話す […]

伍;愛してるよ、風

風《ふう》?今日も呼んじゃったね。ごめん、大好きだよ風《ふう》。 秋の柔らかな陽だまりの中、毛布にくるりんとおさまって気持ちよさそうな風《ふう》。僕の素っ気ない返事がお気に召さなかったようで、ぷぅっと頬を膨らまし可愛らしく僕を睨んできた。睨むその姿さえ可愛いよ、風《ふう》。名前のように、ふわふわでさ […]

肆;我が人生の全てを咲凜へ捧ぐ

伝えたい言葉はもう決まっている。あとは叶えるべく全うするだけだ。みていておくれ、私の奮闘を。 咲凜(えみり)と出会ったのは彼女がまだ十代の頃。弟の敦(あつし)の友人の一人で、どこか異国を感じさせる意思の強そうな大きな瞳が印象的だった。だが印象に残っただけで後に人生に深く関わるような何かは感じなかった […]

【幸】参:恥を知れ

恥を知れ人の真似ごとでよく笑ってられるよな 鏡をみてみろ卑しく汚れたその面を 俺が捻り出したアイディアをいとも簡単に利用しやがったお前のことだよ、自覚あんだろ?だからお前の面は汚ねえんだ、隠しきれねぇ卑しさが漂ってるもんなぁ。胡散臭くてしょうがねぇ。さぞかし気分いいだろうよ、おっさん。パクったなんて […]

【幸】弐:刻んだ愛の重さと証明

空が澄んでとても綺麗私は私でいいそんな証明の日だ 愛されたいだけだったそして愛したいだけだったいつも私の愛は受け入れてもらえない 何がいけなかったの?お前の愛は重すぎる 愛した人はみな苦痛に歪んだ顔で去っていった今度こそ、今度こそ大切に壊さないようにそうっと愛を育てようと頑張るのに上手くいかない 家 […]

【幸】壱;月見草と向日葵と

プールサイド、照りつける日差し、急がないと溶けてしまうアイスキャンデー。 掃除機をかけるため窓を開けると、真夏の太陽が自慢げに季節を誇示している。懐かしいな、姉と通った市民プール。母に100円玉を2つもらうのだ。何色のアイスキャンデーを買おうかな、姉と手を繋ぎ歩いた熱を帯たアスファルト。 色白の姉と […]